現在、日本では大豆やじゃがいもなど、計8種類の遺伝子組換え食品が認められています。
最近、米国農水省では、遺伝子組換え食品の呼び名をバイオ工学食品という呼び名に変更し、それに関連してバイオ工学食品における新たなルールが策定されようとしています。
本記事では、遺伝子組換え食品やバイオ工学食品についてまとめてみました。
Contents
遺伝子組換えとは
遺伝子組換えとは、生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、植物などの細胞の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせることです。
遺伝子組換えの作物を作る目的はなんでしょうか?
答えは実に簡単であり、除草剤耐性、病害虫耐性、貯蔵性増大などの生産者や流通業者にとっての利点のある性質を持たせたり、食物の成分を改変することによって栄養価を高めたり、有害物質を減少させたりし消費者にとっての利点を持たせたりするためです。
遺伝子組換え生物を英語でgenetically modified organism ということから、遺伝子組換え作物のことをGM作物、GMOということもあります。
日本で認められている遺伝子組換え食品
では遺伝子組換え食品は実際どのようなものがあるのでしょうか?
日本で安全性が確認され、販売・流通が認められているのは、食品8作物(169品種)、添加物7種類(15品目)です。(2012年3月)
遺伝子組換えが認められている作物と特徴
作物 | 性質 |
---|---|
大豆 | 除草剤耐性、高オレイン酸 |
じゃがいも | 害虫耐性、ウイルス耐性 |
菜種 | 除草剤耐性 |
とうもろこし | 害虫耐性、除草剤耐性 |
わた | 害虫耐性、除草剤耐性 |
てんさい | 除草剤耐性 |
アルファルファ | 除草剤耐性 |
パパイヤ | ウイルス耐性 |
バイオ工学食品とは
バイオ工学食品とは、Bioengineered Foodの日本語訳であり、アメリカのNational Bioengineered Food Disclosure Standardという遺伝子工学で作られた食品のラベル表示規則に記載されている名称です。
具体的には、普通の交配や自然界では見られない遺伝的な変化が生じた食品であり、基本的には、従来の遺伝子組換え食品がバイオ工学食品に該当するため、今後は日本でも「バイオ工学食品」という呼び名に名前が変更していく可能性が考えられます。
ただし、糖類や油などの高度精製されたものは、DNA技術によって組み換えられた遺伝子物質を含有しないとされるため、本規則の要件から除外されるとのことです。
本規則は2020年1月に施行される予定であり、順守義務は2022年1月1日から生じる予定である。
適用される業者
本規則は食品製造業者や、輸入者、小売業者等に適用され、レストランや小売食品販売施設等には適用されない予定である。
つまり、食品を包装し、ラベル表示する業者への適用が目的だと推定されます。
適用される食品
食品として定義されている全てのものが該当し、飲料、サプリメント等も含みます。
意図せず混入している場合
意図せずバイオ工学食品が混入している場合、表記免除となることがあります。
意図せず混入した割合が5%以下の場合は表記免除となり、これは「消費者への開示の提供と食料サプライチェーンの現実とのバランスが適切であると考えているためです」と説明されています。
米国でのバイオ工学食品リスト
現在、米国においてバイオ工学食品として指定されている作物のリストは、アルファルファ、リンゴ、カノーラ、コーン、コットン、ナス、パパイヤ、パイナップル、ポテト、サーモン、大豆、スクオッシュ、砂糖ビーツの13種類です。
これらの食品において、バイオ工学食品でないことを表示するためには、遺伝子検査等によって、組換えが生じていないことを証明するか、バイオ工学食品が認められていない国で栽培されたものであることなどを証明する必要があります。
表示の方法
容器対して、テキストでバイオ工学食品である旨を表示する以外に、シンボルマークやQRコードなどの電子またはデジタルリンクの掲載など、いくつかの方法があります。
非常に小さな包装の場合には、情報が記載されたウェブサイトのURL等でも可能だそうです。
また、通常の食品原料に対して、意図せずバイオ工学食品原料が混入した場合、5%以下であれば、表示は免除されるとのことです。