チョコレート

カカオ豆がチョコレートになるまでの製造工程について

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チョコレートはカカオ豆からできていることはよく知られていることかと思います。

そのカカオ豆がチョコレートになるまで、巨大な精密機械を何台も経て完成されることはご存知でしょうか。

その製造工程は「食品の重工業」とも呼ばれるそうです。

生産国で発酵・乾燥させられたカカオ豆が、チョコレートになるまで、板チョコレートを例にその製造工程の流れをみていきたいと思います。

原材料の受け入れ

カカオの生産国で発酵・乾燥を終えたカカオ豆は、袋詰めにされ工場へと運ばれていきます。

小規模な農家で作られたカカオ豆は、年によってもその品質は様々だそうです。

しかし、膨大な量のカカオが集まることで、その品質は一定のものになり、チョコレートの原料となります。

選別(クリーナー)

石や砂、ごみなどの異物を取り除き、良いカカオ豆だけを選び出す作業です。

クリーナーという機械にかけて、風選や比重選別、マグネットによる磁性金属除去などによって、生産国で混入した異物や、悪い豆を取り除きます。

異物を除去したカカオ豆は、品種ごとにサイロに貯蔵され、次の工程に送られます。

焙煎(ロースト)

ロースターという機械によって、選別されたカカオに100~140度の熱を加えて、カカオ豆独特の香りと風味を引き出す作業を行います。

チョコレートの香気はローストによって決定されるので、とても重要な工程のひとつといえます。

収穫されたカカオ豆は、生産国で発酵した段階で、香気成分の前駆体が発生しており、それをローストの作業で引き出すということになります。

ローストの温度や時間によって、できあがるチョコレートの味わいは大きく変わってきます。

例えば、高温深煎りローストは、苦みとコクのある深い味わいを引き出します。

一方、低温浅煎りローストは、ロースト前のカカオの特徴を残した品質となります。

つまり、求める味わいによってその方法を変えていくのです。

ローストによって生じる香りの成分は、1000種類以上あることがわかっています。

香気成分は、フルーツ調・ハーブ調・甘い香りなど様々です。

それらが複雑に絡み合い、そのチョコレート独特の香りを作り出します。

しかし、各々の成分がチョコレートの香気にどのように寄与し、相互に影響しあっているかは、完全にはわかっていないそうです。

カカオ豆のロースト方法には、いくつか方法があり、どの方式で行うかによって、できあがるカカオマス(チョコレートの主原料)の品質も異なってきます。

代表的には、カカオ豆をそのままローストする「豆ロースト法」と、カカオ豆を粗く砕き、シェル(種皮)などを取り除いたカカオニブ(胚乳部)の状態でローストする「ニブロースト法」の2つがあります。

豆ロースト法の場合、ローストを終えたカカオ豆は次の工程でシェルとカカオニブとに分離されます。

分離(皮を取り除く)

カカオ豆を粗く砕き、シェル(種皮)を取り除き、カカオ豆からカカオニブ(胚乳部)を取り出す作業です。

この作業をウィノーイング(風選)といい、これを行う装置をウィノワといいます。

細かく砕いたカカオ豆を、上方に流れる気流に放出すると、シェルは鱗片状のため巻き上げられて上昇し、カカオニブは粒状のため下へと落ちます。

こうして、ふるいによってシェルとカカオニブとを分離し、さらに細かいふるいで分離する操作を連続的に行います。

磨砕(すりつぶす)

ウィノーイング処理で取り出されたカカオニブを細かくすりつぶし、ペースト状のカカオマスにする作業です。

カカオニブは繊維質が多いため非常に硬く、様々な装置を組み合わせて粉砕していきます。

その過程で、カカオニブに含まれるココアバター(油脂)によって、固体のカカオニブが粘度のある液体になります。

こうして得られたカカオマスは、タンクに貯蔵され、チョコレートやココアの原料となります。

求めるチョコレートの品質に従い、カカオの品質やロースト条件の異なる複数のカカオマスをブレンドすることも多くあるようです。

混合

ここからはチョコレート生地の製造の工程です。

カカオマスに砂糖、ココアバター、ミルクなどを混合します。

微細化

複数のロールで構成されたレファイナーという装置で生地を微細化します。

この作業で、舌触りがなめらかなチョコレートになります。

ロールが密着しているそれぞれの隙間で、粒子が粉砕され、生地はペースト状から粉状へと変化していきます。

精錬(コンチング)

コンチェという機械で、細かく粉砕された粉状のチョコレート生地を長時間練り上げ、ココアバターを絞り出す作業です。

強力な力で生地を攪拌しながら練っていくうちにココアバターがにじみ出て、堅い粘土状へと変わっていきます。

さらに強い力で練り上げていくと、微細な粒子の表面がココアバターで覆われていき、生地がやわらかくなっていきます。

こうして口どけのよいチョコレート生地ができあがります。

コンチングでは物理的変化だけでなく、化学的変化も起こります。

チョコレートの種生地には水分がほとんどふくまれていませんが、コンチングによってさらに水分が蒸発され、酢酸も蒸散されていきます。

カカオ豆は発酵の過程で酢酸が生じており、その酸っぱい匂いを揮発させることもコンチングの役割のひとつです。

しかし、水や酢酸と同時に香気成分も失われてしまうので、どんなチョコレートを作りたいかによって、コンチングの時間や操作温度を決定する必要があります。

調温(テンパリング)

チョコレートの温度を調節し、ココアバターを安定した結晶にする作業です。

溶かしたチョコレートを冷却、再加熱して安定した結晶を作り出します。

テンパリングが正しくなされることで初めて、型から離脱でき、艶のある見た目と、口どけのよいチョコレートができるため、非常に重要な工程です。

充填(型に流し込む)

デポジッターという装置で、チョコレート生地を型に流し込み、型を激しく振動させて気泡を抜き、型の隅々まで生地を行きわたらせます。

冷却

冷却コンベアに乗せて、冷やし固めます。

冷却初期はゆっくりと冷やし、2段階目はさらに冷たい温度で強制冷却しチョコレートの固化を促進します。

最終段階では、若干の温度上昇を行います。

こうした温度管理により、ブルーム現象と呼ばれる、チョコレートの表面が白くなる現象を防ぎます。

型抜

デモールダーと呼ばれる機械で型を裏返し、チョコレートを型からはがします。

検査・梱包・出荷

できあがったチョコレートを梱包し、倉庫の中で一定期間熟成させたあと、チョコレートが溶けないよう温度管理された状態で店舗まで運ばれます。

まとめ

普段、気軽に口にしていたチョコレートが、こんな様々な工程を経て出来ていることに驚いた方も多いのではないでしょうか。

その作業一つ一つが、チョコレートの品質や味わいを左右する大切なものであることもわかります。

生産地によって異なるカカオの品質、ローストによって生じる1000種類以上の香気成分、コンチングによる口どけと香味の変化。

それぞれの組み合わせによって生まれるチョコレートは何種類あるのだろうと夢が膨らみます。

チョコレートの香味成分や化学変化についてはまだまだ解明されていないことも多く、チョコレートの奥深さを改めて感じました。

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