Contents
食品表示法2024〜2025年改正:変わった点を食品科学者がわかりやすく解説【くるみ義務化・GMP・機能性表示食品改正】
「最近、食品のラベルが変わった気がする」「くるみのアレルギー表示が義務化されたって本当?」「機能性表示食品の制度が変わったと聞いたけど、具体的に何が変わったの?」——食品表示法の改正は毎年続いていますが、消費者にとってわかりやすく整理された情報がなかなか見つからないのが現状です。
私は食品化学の研究者として、食品表示制度と食品安全行政を学習してきました。本記事では、2024年〜2025年に行われた主要な食品表示関連の改正を、消費者の視点からわかりやすく解説します。特に消費者として知っておくべき変更点に絞って整理しますので、ぜひ最後までお読みください。
①くるみが特定原材料に追加:2025年4月から義務化
くるみのアレルギー症例数の増加が顕著であることから、2023年3月9日に食品表示基準が改正され、「くるみ」が2025年4月1日から義務表示(特定原材料)に追加されることが決定しました。2025年4月1日以降に製造・加工・輸入・販売される加工食品には「くるみ」の表示が義務付けられます。
くるみが追加された背景には、ナッツ類による重篤なアレルギー症例の増加があります。消費者庁が毎年公表する発症事例データでも、くるみによる症例が目立つようになっていました。食品科学者として補足すると、2018年度のくるみの症例数が鶏卵・牛乳・小麦に次いで4番目に多かったという調査データが義務化の科学的根拠となっています。
改正前後の特定原材料(義務表示)一覧
- 改正前(8品目):えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)・クルミ(推奨)
- 改正後(9品目):えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)・くるみ(2025年4月より義務化)
- くるみアレルギーの方は、2025年4月以降の食品では「くるみ」表示を必ず確認できるようになった
- ただし経過措置期間中(2025年3月31日以前に製造された製品)は旧表示が残っているため注意が必要
くるみアレルギーをお持ちの方・お子さんをお持ちの保護者の方は、2025年4月以降の食品では「くるみ」という表示を義務表示として確認できます。しかし製造・販売時期によって旧表示の製品が混在する経過措置期間があるため、しばらくは特に注意して確認することをお勧めします。
②マカダミアナッツ追加・まつたけ削除:推奨品目の改正
2024年3月29日、消費者庁は食品表示基準の改正を発表しました。食物アレルギー表示推奨品目としてマカダミアナッツが追加、まつたけは削除されました。また2025年1月21日の「第7回食物アレルギー表示に関するアドバイザー会議」において、カシューナッツ・ピスタチオについても検討が進められています。
推奨品目とは、表示義務はないものの、アレルギー患者保護の観点から表示を推奨されている品目です。マカダミアナッツは症例数の増加を受けて推奨品目に追加されており、食品メーカーは任意で表示することが求められています。まつたけは症例数が少なくなったとして削除されました。
| 変更内容 | 対象品目 | 施行時期 | 義務/推奨 |
|---|---|---|---|
| 追加(義務) | くるみ | 2025年4月1日〜 | 義務(9品目目) |
| 追加(推奨) | マカダミアナッツ | 2024年3月〜 | 推奨(任意表示) |
| 削除(推奨から) | まつたけ | 2024年3月〜 | 推奨品目から削除 |
| 検討中 | カシューナッツ・ピスタチオ | 検討中(2025年〜) | 義務化の可能性あり |
③機能性表示食品のGMP義務化:紅麹問題を受けた制度改革
2024年の小林製薬紅麹問題を受けて、最も重要な制度改革のひとつがGMP(Good Manufacturing Practice=適正製造規範)の義務化です。GMP とは、製品の品質を一定水準に保つための製造管理・品質管理に関する基準で、医薬品では以前から義務でしたが、食品(サプリメント)では義務ではありませんでした。
2024年9月1日施行の改正により、サプリメント形状(錠剤・カプセル・顆粒等)の機能性表示食品および特定保健用食品(トクホ)はGMP基準に基づく製造管理が義務化されました。これにより、製造工程での品質管理の水準が法的に担保されることになります。GMPでは、原材料の受け入れ検査・製造工程の衛生管理・製品の品質検査・記録の保管といった一連の品質保証体制が求められます。食品科学者として評価すると、これは消費者保護の観点から重要な前進です。ただし、GMP認証を持たない工場への移行期間が設けられているため、完全適用には時間がかかります。消費者としては、購入する機能性表示食品が「GMP認定工場製造」と明記されているかを確認する習慣をつけると安心です。
④機能性表示食品の健康被害報告義務化
同じく2024年9月1日施行の改正で、機能性表示食品・トクホで健康被害が発生した場合、事業者が消費者庁・保健所に報告することが義務化されました。改正前は任意報告だったため、今回の紅麹問題のように被害が拡大してから表面化するリスクがありました。
この改正により、事業者が健康被害の情報を把握してから15日以内に消費者庁へ報告することが義務付けられます。消費者庁はこれを情報収集・分析し、必要に応じて公表・注意喚起を行います。食品科学者として消費者へのアドバイスは「機能性表示食品を摂取中に体調変化があれば、消費者庁の窓口や医師に早めに相談すること」です。
⑤2025年3月公布の4つの改正ポイント
2025年3月28日に公布された食品表示基準の一部改正では、主に以下の4点が変更されました。
2025年3月28日施行の主な改正4点
- ① 栄養成分表示の見直し:一定の条件下での表示方法の柔軟化。事業者の表示負担を軽減しつつ消費者への情報提供を維持する改正
- ② 原料原産地表示の改正:一部の加工食品での原料原産地の表示要件の見直し。消費者が原料の産地をより正確に把握できる方向への改正
- ③ アレルギー表示の追加対応:マカダミアナッツの推奨品目追加に続く関連整備
- ④ 機能性表示食品の表示内容強化:紅麹問題を受けた注意文言の強化。「本品は疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません」等の注意書きが明確化
食品表示法は消費者の健康を守り、適切な情報提供を行うための重要な法律です。法令は社会情勢の変化に伴い、定期的に改正が行われます。特に2025年3月公布の改正は、紅麹問題・アレルゲン増加・消費者の健康志向の高まりという複数の社会的背景を受けた包括的な改正です。
食品ラベルの正しい読み方:改正後に特に確認すべきポイント
一連の改正を受けて、消費者として食品ラベルをどう読めばよいか整理します。
アレルギー表示の確認ポイント
2025年4月以降に製造された食品では、くるみが含まれる場合は必ず表示されています。ただし経過措置期間中の製品では旧表示のものも流通しているため、くるみアレルギーがある方は製造日も確認した上で判断することをお勧めします。
機能性表示食品を選ぶ際の確認ポイント
機能性表示食品を購入する際は、①GMP認定工場での製造であるか、②消費者庁の届出データベースで届出が受理されているか、③「疾病の診断・治療・予防を目的としない」旨の注意文言が記載されているかを確認しましょう。本サイトの紅麹問題解説記事もあわせてご参照ください。
「無添加」「不使用」表示の注意点
消費者庁は2022年より「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を策定しており、一部の「無添加」表示が問題視されています。「人工・合成」という言葉の削除や「無添加・不使用」表示の適正化についての検討が進められており、今後も改正が続く可能性があります。「無添加」表示の意味については本サイトの「無添加は本当に安全か?」の記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事のまとめ
- くるみが2025年4月1日から特定原材料(義務表示)9品目目に追加。くるみアレルギーの方は必ず確認を
- マカダミアナッツが推奨品目に追加。まつたけは削除(2024年3月〜)
- 紅麹問題を受け、2024年9月よりサプリメント形状の機能性表示食品にGMPが義務化
- 同じく2024年9月より機能性表示食品の健康被害報告が事業者に義務化(15日以内に消費者庁へ)
- 2025年3月公布の改正では栄養成分表示・原料原産地・機能性表示食品の表示内容強化が実施
- 「無添加」表示の適正化も議論が進んでおり、今後さらなる改正の可能性あり
食品表示の改正は消費者保護の向上を目的に行われており、ラベルから得られる情報は年々充実しています。一方で改正が頻繁なため、最新情報をキャッチアップすることの難しさもあります。本サイトでは食品表示の改正情報・各添加物の解説記事も随時更新していますので、あわせてご覧ください。今後も消費者庁の公式サイトや本サイトで最新情報を定期的に確認する習慣をつけることが、賢い食品選びの第一歩です。食品表示法の改正や食品ラベルの読み方についてご質問があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。なお本記事の情報は2025年7月時点のものです。最新の制度については消費者庁の公式情報を必ずご確認ください。
監修・執筆:azu(食品化学研究者)
農学部卒業後、大学院にて酵素研究を専攻(修士課程修了)。現在は食品メーカーにて研究職として勤務。保有資格:食品衛生管理者・毒物劇物取扱責任者・甲種危険物取扱者・食生活アドバイザー3級。