食品添加物のウェランガムについて
みなさん、食品添加物に用いられているウェランガムについてご存知ですか?
ウェランガムは増粘多糖類の一種で、食品添加物として増粘剤やゲル化剤、糊料として使用されています。
日本では比較的マイナーな増粘多糖類であるウェランガムについて本ページでは纏めてみました。
ウェランガムの構造
ウェランガムは4つの糖が繋がった繰り返し構造の中に、分岐部分の糖を1つ持った構造をしています。
4つの糖の繰り返し構造は、グルコース、グルクロン酸、ラムノースから構成されています。
分岐部分の糖はL-マンノースあるいはL-ラムノースです。
ウェランガムの構造
グルコース、グルクロン酸、ラムノースから構成されるジェランガムと名前も構造も非常に良く似ていますが、
ジェランガムとは由来微生物が異なること、及びウェランガムは分岐糖を持っていることが大きな特徴です。
ウェランガムの製造方法
ウェランガムはグラム陰性細菌であるAlcaligenes属を用いた発酵法によって製造されています。
具体的な方法としては、糖をAlcaligenes属に食べさせて、ウェランガムを合成させる方法です。
微生物を利用した発酵法は、増粘多糖類の製造によく用いられている手法です。
日本での販売もありますが、ウェランガムの製造国は主に中国であると推察されます。
ウェランガムの利用と特性
ウェランガムは食品添加物の増粘剤、安定剤、ゲル化剤あるいは糊料として利用されます。
また、食品以外の分野においては、インキ組成物、コンクリート・セメント系材料、未加硫ゴム用材料、化粧組成物としての用途があります。
これらの分野で用いられている理由としては、以下のような性質を有しているためであると考えられます。
・アニオン性の多糖類であるため、水を吸水しやすく増粘することが特徴。
・高い熱安定性及びpH安定性を持ち、シュードプラスチック性を示す。
・カルシウム濃度が高い環境下においても性能を発揮することが可能。
このような特徴的な性質を有しているため、食品添加物として様々な分野での利用が期待されており、実際使われている可能性が高いです。
ウェランガムの特許については三栄源F・F・I社から出願されており、その特許によると飲料分野、スープ、ソース、菓子、栄養補助飲食品、ゼリー、プリン、ババロア、ムース、ハードヨーグルト、ドリンクゼリー、ゲル状食品、肉水産加工食品等に適しているそうです。
まとめ
ウェランガムについて纏めると以下の通りです。
・ウェランガムは4つの糖が繋がった繰り返し構造の中に、分岐部分の糖を1つ持った構造をしています。
・発酵法によって微生物から製造される。
・高い熱・pH安定性やカルシウム耐性を持つことから、食品添加物の増粘剤、糊料として利用されている。
今後もウェランガムについて情報がありましたら随時更新していきます。