酸味料とは、食品の製造又は加工工程で、酸味又は酸度の付与又は増強、若しくは味質の調和又は調整等、主として酸味による味覚の向上又は改善のために使用される食品添加物及びその製剤をいいます。
表示としては、物質名または「酸味料」と一括表示されます。
指定添加物
アジピン酸
構造式 HOOC–(CH2)4–COOH、分子量146.14 のジカルボン酸です。
クエン酸
C(OH)(CH2COOH)2COOH で、柑橘類などに含まれる有機化合物であり、ヒドロキシ酸のひとつです。
クエン酸三ナトリウム
示性式が Na3(C3H5O(COO)3) の塩であり、分子量はは258、心地よい塩味と香味を示します。
グルコノデルタラクトン
C6H10O6表されるグルコースの1位のヒドロキシ基がケトンに置き換わったものです。豆腐やチーズの凝固剤として使用されまた、低温で反応せず均一に発泡するため、ビスケット、パン、ドーナツなどの膨張剤として使用されます。
グルコン酸
グルコースの1位の炭素を酸化することによって生成するカルボン酸で、化学式C6H12O7で表されます。酸性の溶液に溶かしたり、溶液から遊離酸の単離を試みたりすると、容易に脱水して環状エステルであるグルコノデルタラクトンへと変化します。
コハク酸
構造式 HOOC–(CH2)2–COOH で表されるカルボン酸の一種です。
コハク酸一ナトリウム
コハク酸のナトリウム塩であり、貝類のうま味成分を構成しています。
コハク酸二ナトリウム
コハク酸のナトリウム塩であり、貝類のうま味を呈し、シーフード風味のインスタントラーメンや漬物、ソーセージ、醤油、合成酢などの調味料として、グルタミン酸ナトリウムと併用されます。
酢酸ナトリウム
示性式CH3COONaで表され、酢酸ソーダとも言います。漬物などの保存料がわりに使われることもあります。
酒石酸
酸味のある果実、特に葡萄、ワインに多く含まれる有機化合物で、示性式が (CH(OH)COOH)2 と表されるヒドロキシ酸です。
酒石酸ナトリウム
酒石酸のナトリウム塩であり、酸味の付与や酸度・pHの調整あるいは食品の風味の調整として使用されます。
二酸化炭素
地球上で最も代表的な炭素の酸化物であり、気体は炭酸ガス、固体はドライアイス、液体は液体二酸化炭素、水溶液は炭酸・炭酸水と呼ばれます。
乳酸
ヒドロキシ酸の1種で、示性式 CH3CH(OH)COOHで表されます。、酸味及びpH調節の目的で、さまざまな食品に使用されています。
乳酸ナトリウム
乳酸のナトリウム塩で、化学式C3H5NaO3で表さます。広い抗菌作用と保湿効果があり、食肉を初めとした多くの食品の日持ちや風味の向上、離水防止に使われます。
氷酢酸
純度96パーセント以上の酢酸です。酸味剤として用いられます。
フマル酸
HOOC–CH=CH–COOHで表される、ジカルボン酸です。食品添加物およびサプリメントとしても用いられ、酒石酸の替わりに飲料やベーキングパウダーへ添加されることがあります。
フマル酸一ナトリウム
フマル酸のナトリウム塩であり、水に難溶性のフマル酸と異なり、水溶性である。ジュース類や清涼飲料などの飲料、冷菓やゼリー菓子、漬物などの酸味料として使用されます。
リンゴ酸
ヒドロキシ酸に分類される有機化合物で示性式は HOOC-CH(OH)-CH2-COOH、分子量は 134.09です。爽快感のある酸味を持つため、飲料や食品の酸味料として用いられます。
リンゴ酸ナトリウム
リンゴ酸のナトリウム塩です。酸味剤として、また塩味があるため、食塩の代替(減塩)に用いられています。
リン酸
リンのオキソ酸の一種で、化学式 H3PO4 の無機酸です。飲料・食品に酸味を与えるための廉価な添加物としてクエン酸などの代用に使われます。
既存添加物
イタコン酸
麹菌(Aspergillus terreus)による殿粉又は粗糖発酵培養液より、分離して得られたもので、成分はイタコン酸です。
フィチン酸
イネ科イネ(Oryza sativa LINNE)の種子より得られた米ぬか又はイネ科トウモロコシ(Zea mays LINNE)の種子より、室温時水又は酸性水溶液で抽出し、精製して得られたもので、主成分はイノシトールヘキサリン酸です。