普段スーパーで何気なく見かける長芋や山芋や自然薯。
この3つの食材はよく似ていて何が違うのか疑問に思ったことはありませんか。
本記事では、長芋と山芋と自然薯の違いについて解説しています。
Contents
長芋と山芋と自然薯の違い
長芋と山芋の違いについて、分類学的な観点と栄養学的な観点から説明します。
分類学的な違い
長芋とはナガイモは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のナガイモという分類になります。
一方で、山芋はヤマノイモ科の分類に属するものの総称のことであるため、山芋の一種が長芋ということになります。
しかし、地域によっては、山芋は自然薯のことを指す場合があります。
自然薯はナガイモと同様にヤマノイモ科ヤマノイモ属の分類で、その中のジネンジョというものになります。
即ち、纏めると以下の通りです。
山芋:ヤマノイモ科の総称もしくは自然薯を指す
長芋:ヤマノイモ科ヤマノイモ属のナガイモ
自然薯:ヤマノイモ科ヤマノイモ属のジネンジョ
栄養面での違い
長芋と山芋(自然薯)は栄養面でそれほど違いがありません。
しかし、若干長芋はタンパク質が多く、山芋(自然薯)は炭水化物が多いことが特徴です。
その他、水分がやや長芋のほうが多いことから、カロリーが山芋(自然薯)の方が若干高いようです。
水分が長芋は多いことから、粘り気は少なめで淡白な味わいである一方、山芋(自然薯)は粘りが強く甘みがあります。
生で食べられる理由
長芋や山芋(自然薯)は、芋類の中でも唯一生で食べることが出来ます。
その理由は、長芋や山芋にはアミラーゼ(ジアスターゼ)という酵素が残っており、生で食べても澱粉が分解されるためです。
芋類に多く含まれる澱粉は生で食べると体の中で全てを分解することは難しく、それが胃の調子を悪くしてしまうことがあります。
そのため、通常は火を通すことで澱粉を糊化させて胃で消化される状態にするのですが、長芋や山芋はアミラーゼが豊富に含まれているため、生でも澱粉をある程度分解することが出来るからです。
ふんわり感が出せるのは?
よくお好み焼き等の料理にふんわり感を出すために、長芋や山芋(自然薯)を入れることがあります。
よりふんわり感を出したい場合は、どちらを使えば良いのでしょうか。
答えは山芋(自然薯)で、理由としては炭水化物が多いことや上述した通り粘りが強いため、ふんわり感を演出しやすいのです。
ふんわり感の主な要因は澱粉に火を通すことで糊化することで生じるため、炭水化物の多い山芋(自然薯)が良いのです。
逆にサラダ等に使う際に、サクサクとした食感にしたい場合は、粘り気の少ない長芋を用いるのが良いですね。
アレルギーはどうなのか?
長芋や山芋(自然薯)を食べることで、口の中や周りが痒くなったりすることがありますよね。
一見アレルギーかと思われがちですが、実は違う場合もあります。
長芋や山芋(自然薯)には、シュウ酸カルシウムという物質が含まれており、この物質は針状の結晶をしていることから、肌に付着する際に刺激を与え痒みを感じることがあります。
また、長芋や山芋(自然薯)にはアレルギー反応も確認されており、厚生労働省が指定する原材料表示が推奨されているものに該当します。
アレルギーを引き起こすたんぱく質をアレルゲンといいますが、長芋と山芋(自然薯)に含まれているタンパク質は厳密には違うものの、かなり似ている構造であることから、例えば長芋でアレルギー症状がある方は、山芋(自然薯)でもアレルギー反応が出る可能性が高いです。
保存方法
長芋と山芋(自然薯)は同じ保存方法で問題ありません。
芋の状態で保存する場合は、冷暗所で約1か月程度はもつとされています。
一方、カットした場合は冷蔵庫に入れて保存する必要があり、約1週間程度しかもたなくなります。
すりおろしたものに関しては、冷凍保存がオススメです。
冷凍で保存することで1か月以上はもつとされています。
値段
値段については山芋(自然薯)が長芋に比べ圧倒的に高く、4~5倍程度の値段になることもあります。
その理由として天然の山芋(自然薯)は自制している場所が限られており探すのが大変なことや、芋を傷つけることなく採取するために、周囲の土を掘り出すこと等に多大な労力がかかるためです。
とろろとむかごについて
長芋や山芋(自然薯)が関連する食べ物として「とろろ」と「むかご」があります
とろろ
生の山芋または長芋をすり下ろしたものをとろろといいます。
とろろはすり下ろした際に、芋中の粘質物が細胞外へ溶出することで特有の粘りを示します。
とろろの粘質に関しては、とろろ中のマンナンと呼ばれる糖質やタンパク質が関係していると言われています。
むかご
長芋や山芋(自然薯)のツルの葉の付け根にできる小さな丸いものをむかごといいます。
むかごは植物の栄養繁殖器官の一つで、わき芽が養分を貯え肥大化した部分のことをいい、むかごが地面に埋まることで新たに長芋や山芋(自然薯)が形成されます。
むかごは全国的にそれほど栽培されていないことから、あまりなじみがありませんが、ご飯と一緒に食べたり、塩炒めして食べることがあります。
収穫時期は9月下旬から11月初旬頃なので、旬は10月頃とされています。
とろろを作るのに便利なもの
とろろを作る際は、山芋をすって作るのですが、手が痒くなったり面倒だったりしますよね。
調理中に手が痒くなるのは上述したように、アレルギーでなければシュウ酸カルシウムの影響ですので手で触れる機会を少なくすれば良いのです。
その際にオススメなのが、回転おろし器で、これを使うと手で触れる機会を減少させることが可能で、さらにすぐにとろろを作れるためおすすめです。
また、そもそも擦ること自体が面倒な方は、擦った後のとろろも実は通販や業務スーパーで売ってありますのでそちらを利用するのもオススメです。
冷凍品ですので、日持ちもするためおかずの一品として気軽に使うことが出来ます。