食生活アドバイザー3級解説 段取り上手になろう

「段取り上手になろう」とは、食生活アドバイザー検定の3級の範囲です。
2級では、衛生管理という題目ですが、3級では、このように嚙み砕いた言い方をしています。

本ページでは、食生活アドバイザー検定3級の「段取り上手になろう」の範囲の
勉強対策として重要ポイントをまとめました。

食中毒
急性の健康障害で、原因となる細菌・ウイルス・毒素が付着した飲食物を体内に摂取することで起こる。
発生状況は、細菌性食中毒が高温多湿になる6~10月が多く、ウイルス性は11~3月、冬場はフグ、牡蠣などに中が必要である。
O-157やノロウイルスなど、人から人への感染も確認されている。

食中毒の原因
細菌:食品に混入した細菌性食中毒菌が原因となり、サルモネラ菌、セレウス菌、ボツリヌス菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌などがある。発症の種類には感染型と毒素型があり、感染型は、菌を摂取した後に、菌が腸管内で増殖して症状が起こる。一方、毒素型は食品内毒素型と生体内毒素型があある。
自然毒:動植物が元々有する有毒成分によるもので、動物性自然毒と植物性自然毒がある。動物性自然毒には、フグ毒(テトロドトキシン)、貝毒(テトラミン)などがある。植物性自然毒には、毒キノコ(アマトキシン)、トリカブト(アコニチン)、じゃがいもの芽(ソラニン)、青梅の毒(アミグダリン)などがある。
ウイルス:ウイルスが体内で増殖することで起こり、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、ロタウイルスなどがある。
その他:有毒な化学物質などを摂取した際に生じる。ヒ素、水銀、シアン化合物、カビ毒など。

以下に各種菌の特徴について記します。

サルモネラ菌
・動物の肉や卵についていることが多い。
・潜伏期間は12~24時間、症状は下痢、発熱、嘔吐、腹痛など。
・予防策としては、肉類、卵を生で食べず、十分加熱調理することが重要。

腸炎ビブリオ菌
・生鮮魚類に多く、塩類3~5%で発育する。
・潜伏期間は10~18時間、症状は腹痛、下痢、発熱、嘔吐など。
・予防策としては、手及び食材をよく洗うこと、加熱調理をすること、調理機器の熱湯消毒などが重要。

カンピロバクター
・鶏、豚、牛などの腸管やレバ刺し、牛刺しなどに存在。
・潜伏期間は2~7日、症状は腹痛、下痢、発熱、血便など。
・予防策としては十分に加熱することが重要。

黄色ブドウ球菌
・人の鼻や喉の粘膜、傷口に多く付着している。
・潜伏期間は1~3時間、症状は激しい嘔吐、下痢、腹痛など。
・予防策としては、ゴム手袋などをして、食材に直接手を触れないようにする。

ボツリヌス菌
・缶詰、瓶詰、真空パックの食品、ソーセージやハムに多い。
・潜伏期間は12~36時間、症状は、頭痛、嘔吐、下痢、神経障害、最悪の場合死に至ることもある。
・予防策としては、十分に加熱することが重要。

腸管出血性大腸菌
・飲料水、肉類などに存在、感染力が非常に強い。
・潜伏期間は1~9日、症状は腹痛、下痢、血便など。
・予防策としては、十分な加熱調理や、調理器具の熱湯消毒が重要。

ウエルシュ菌
・カレーやシチューなど、前日に大量調製された後、室温で放冷されたものに発生する。
・潜伏期間は8~20時間、症状は腹痛、下痢など。
・予防策としては、前日調理を避け、食べるときは十分に加熱することが重要。

セレウス菌
・農作物などに感染していることが多い。
・症状は下痢、嘔吐、腹痛など。嘔吐型と下痢型が存在する。
・予防策としては、室温に長時間放置しないこと、再加熱を十分にすることが重要。

ノロウイルス
・生牡蠣、ホタテなどの二枚貝に存在、人から人へ感染する。
・潜伏期間は24時間~48時間、症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、微熱など。
・予防策としては、中心部までの加熱調理が有効。

病原菌の増殖
病原菌は、水分を好み、水分を多く含む食品は特に増殖しやすい。
大部分の菌は、30度~40度がもっとも増殖する温度帯である。
栄養素としてはタンパク質、糖類、ビタミン等を利用する。

食中毒の予防
食中毒の予防には、以下の3大原則がある。
1.付けない 2.増やさない 3.殺菌(加熱)

殺菌の種類
洗浄:手、食品、食器、調理器具などの汚れや有害物質を水や洗剤で取り除くこと。
消毒:微生物を殺菌したり、滅菌することで、感染力のない状態にすること。
除菌:微生物をろ過・沈殿などの物理的方法によって取り除くこと。
抗菌:微生物の生育・増殖を阻止したり、抑制したりすること。
滅菌:微生物を死滅させて、ほぼ無菌の状態にすること。
静菌:微生物の増殖を阻止・抑制すること。

食品の化学的変化
変質:食品を長時間放置したことで、外観や内容に変化が生じること。
腐敗:タンパク質が微生物によって分解され、食用に適さなくなること。
変敗:油脂の劣化現象で、異臭が発生したり、粘性を帯びたりする。
発酵:微生物の作用で、食品中の有機物が分解され、ほかの化合物になること。

身近な発酵食品に用いられる代表的な微生物
ビール酵母(ビール)、ぶどう酒酵母(ワイン)、麹カビと清酒酵母(清酒)、パン酵母(パン)、麹カビ(かつお節)、アオカビ(チーズ)、納豆菌(納豆)、乳酸菌(ヨーグルト)、酢酸菌(食酢)、麹カビと焼酎酵母(焼酎)、乳酸菌と酵母(漬物)、麹カビ・醤油酵母・各種細菌(醤油)、麹カビ・酵母・細菌(味噌)

食品の保存方法
食品を腐敗あるいは変敗させないために、さまざまな保存方法が存在する。
低温法:有害微生物の活動がにぶくなる温度帯にで保存する方法。
乾燥法:微生物の活動に必要な水分を取り除く方法。
塩蔵法:食品を塩の浸透圧で脱水し、微生物の発育を抑制する方法。
燻煙法:防腐作用のある煙の成分を食品にしみこませて、微生物の活動を抑制する方法。
空気遮断法:気密性のある容器に入れ、空気を抜いて保存する方法。

遺伝子組み換え
ある農作物から優れた遺伝子を取得し、別の農作物に導入して、目的の性質を農作物に付与する技術を遺伝子組み換えという。
遺伝子組み換えを行うことで、病害虫への体制を強くしたり、収穫量を増加させることなどが可能である。
一方、遺伝子組み換えは人工的に作られた生命体であることから、食べた場合の体への影響など未知数の部分が多いという事実もある。
遺伝子組み換えの表示義務がある農作物は以下の8種類である。
大豆、とうもろこし、じゃがいも、綿実、菜種、アルファルファ、甜菜、パパイヤ
正し、醤油や大豆油などは、表示義務がなく、タンパク質が加工過程で分解除去されているという考えに基づいている。

食品添加物
食品添加物とは、食品の保存性を高める保存料や、甘味を付与する甘味料、食品に色を付与する着色料など、食品に機能を付与するために使用する添加物を指す。食品添加物の安全性については、安全性試験や食経験等を考慮し、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や使用の基準を定めたうえで、厚生労働省が使用を認可している。食品添加物は、厚生労働省のホームページにて公開されている食品添加物リストにて、認可されている全ての食品添加物が公開されている。

キャリーオーバー
原材料の製造加工で使用された添加物が最終食品まで微量となる場合や、食品添加物としての効果を示さないため、表示を免除されることをいう。

ADI
ADI(Acceptable Daily Intake)とは、食品添加物の1日摂取許容量のことである。安全な摂取量を1日あたりの平均値に換算し、体重1kg当たりで割り算して求める。

ダイオキシン類
ダイオキシン類は水に溶けにくく脂溶性であるため、魚介類や動物の脂肪組織に蓄積される。したがって、人間のダイオキシンの摂取量のほとんどは、そういった食品で生物濃縮されたものから蓄積しているとされている。

環境ホルモン
正式名称を外因性内分泌かく乱化学物質といい、環境中から口や鼻、皮膚を介して体内に侵入して正常なホルモン作用に影響を与える物質のことである。

残留農薬
農薬が人体に影響がでるほど大量に残存したまま流通することを防ぐため、食品衛生法によって残留農薬基準値が定められている。
ポジティブリスト制度によって、国内外で使用されている農薬のほぼすべてが規制されるようになった。
この制度は、国内外の農薬の残留値について基準が設定されており、基準を超える農作物の流通を禁止することができる制度である。

ポストハーベスト
収穫後の穀物に使用する農薬をポストハーベストという。害虫対策やカビの損害目的で使用されるが、食卓に近いタイミングで使用されるため、残留農薬の危険性が高いとされている。ポストハーベスト用の農薬もポジティブリスト制度で規制されている。

BSE
牛海綿状脳症のことで、異常化したタンパク質が牛の脳に影響を与え、神経症状を引き起こす病気である。BSE感染牛を食べることで、人への感染も確認されているため、食肉処理をされる前に検査を行って、BSEに感染していないか確認している。

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