こんにゃくに含まれる糖質マンノースとブドウ糖の違いは?
こんにゃくに含まれる多糖類はグルコマンナンと呼ばれています。
このグルコマンナンはグルコースとマンノースが結合して作られている多糖類です。
グルコースは比較的よく聞く糖なので、みなさん聞いたことあると思います。
そう、グルコースはブドウ糖ですね。
ではマンノースとはなんなのでしょうか?
本記事ではマンノースについて纏めてみました。
マンノースとは
マンノースは糖質の一種であり、化学式はC6H12O6で表される化合物です。
これは、グルコースと同様の化学式であり、炭素(C)が6こある糖であるため、ヘキソースと呼ばれる単糖に該当します。
マンノースは、こんにゃくに含まれるグルコマンナンと呼ばれる多糖類など、マンナンの構成成分であるため、マンノースは工業的にはマンナンを加水分解することで製造されています。
マンノースは人間の体内で実は重要な働きを担っており、体内でタンパク質や脂質に糖類が付加するグリコシル化反応の材料として使用されています。
このグリコシル化反応によって、タンパク質に様々な機能を付与していることが知られており、例えばグリコシル化反応が起こらないとタンパク質の構造が変化し、正常な機能を発揮できないことなどがあります。
また、古くなったり、傷ついたりしたタンパク質の認識にもグリコシル化反応が関与しており、体内でのタンパク質の分解・新陳代謝の指標となります。
他にも分解や熱からタンパク質や細胞を守ることや、血液型の違いもグリコシル化反応が関与しています。
よって、マンノースは生体内で欠かせない存在といえます。
グルコースとマンノースの違い
マンノースの化学式はC6H12O6で表され、これはグルコースと同じと述べましたが、では、グルコースとマンノースの違いはなんでしょうか?
まず、構造的な違いとして、水酸基と呼ばれるOHという官能基が、グルコースと逆についている部分があるということです。
詳しく言うと、2位の炭素についている水酸基がグルコースと反対の向きについており、これをマンノースはグルコースのエピマーであるといいます。
このあたりは、かなり化学を勉強していないと理解することが難しいかもしれません。
また、構造的な違いがあることにも起因しますが、マンノースは生理機能的にもグルコースと大きく異なる特徴があります。
それは、マンノースはグルコースと異なり人間の体内であまり代謝されず、エネルギー源として機能しないということです。
ある研究結果では、マルトースを経口摂取しても血糖値がほとんど上がらないとされています。
マンノースが含まれる食品や利用例
マンノースが含まれる食品はどんなものがあるのでしょうか?
まず、マンノース単体としては、果実や果皮に含まれることが知られています。
また、多糖類のマンナンとして、こんにゃくに含まれることが知られています。
このマンナンは体内で消化されず食物繊維として機能します。
また、マンノースは医薬分野にも利用されており、マンノースは尿路感染症のための自然治療薬として販売されています。
このマンノースの作用メカニズムは尿路においてバクテリアの接着を阻害することによって効果を発揮するといわれています。
最近の研究結果では、マンノースはがん細胞の増殖を抑える働きがあるという研究例もあります。
がん細胞では、栄養源としてグルコースを利用しており、グルコースの代謝機能が高まっていることが知られています。
しかし、マンノースをがん細胞に与えると、がん細胞内のグルコースの様々な代謝経路が抑制され、その結果がん細胞が育ちにくくなるそうです。
がん細胞を抑えれられる等、様々な機能をもつ糖質のマンノースは、これから注目を浴びるかもしれませんね。