チョコレートの原材料であるカカオ。
カカオ豆を実らせるカカオの樹はいったいどんなところで栽培されているのか、カカオの生産地についてまとめていきます。
一部地域でしか栽培できないカカオの樹
カカオ豆とは、カカオの樹に実った果実の中にある種子のことをいいます。
カカオの樹は高温多湿の熱帯地域でしか生育しません。
それも、赤道を挟んで北緯20度から南緯20度までの限られた範囲になります。
この範囲でのカカオ栽培適地は「カカオベルト」と呼ばれています。
しかし、この範囲であればどこでもカカオが育つという訳ではありません。
高度30~300m、年間平均気温が約27度で気温差が小さいこと、年間降雨量は最低でも1,000mm以上であることなど、生産地域はかなり限定されています。
カカオは、これらを満たす特別な地域にしか生育しない繊細な樹なのです。
これらの条件を満たすのは、中南米、西アフリカ、東南アジアの限られた地域です。
世界約50か国のカカオ豆の年間生産量は約469万トンです。
そのうち、コートジボワール、ガーナ、インドネシア、エクアドル、カメルーン、ナイジェリア、ブラジルという主要7か国で総生産量の約89%を占めています。
日本ではカカオ豆の生産地としてガーナが有名ですが、世界的にみた生産量ではコートジボワールが抜きんでています。
生産地域でみるとアフリカが75%と一番多く、カカオの起源である中南米は現在それほど生産量は多くありません。
世界のカカオ豆生産概状(国際ココア機関(ICCO)カカオ統計 2016/17第2刊)
順位 | 生産国 | 単位(万トン) |
1 | コートジボワール | 198 |
2 | ガーナ | 95 |
3 | インドネシア | 31 |
4 | エクアドル | 27 |
5 | カメルーン | 24 |
6 | ナイジェリア | 22 |
7 | ブラジル | 19 |
生産地域 | 単位(万トン) |
アフリカ | 352.5 |
中南米 | 76.66 |
アジア・オセアニア | 40.09 |
世界総生産量 | 469.25万トン |
世界のカカオ豆の生産量は約469万トン。
このうち日本の輸入量は約6万3200トンです。
ちなみに世界のコーヒー豆の生産量は約950万トン、米の生産量は約4億8100万トン、小麦の生産量は約7億5200万トンであることから、カカオ豆がいかに貴重な農作物であるかがわかります。
日本のカカオ豆輸入
日本のカカオ豆輸入量は、2016年において約6万3200トンで、その約77%がガーナ産です。
ガーナ産のカカオ豆は、世界最大の生産量を誇るコートジボワール産のカカオ豆よりも品質が安定しているそうです。
次いで輸入量が多いのは、ベネズエラ、エクアドルで、どちらも高品質のカカオ豆を生産することで知られています。
日本のチョコレートは、高品質のカカオ豆を使用しているといえます。
日本でみられるカカオの樹
日本でもカカオの樹が栽培されているところがあり、一部ではカカオ豆の採取も行われています。
その多くは、湿度管理のできる植物園です。
秋田県立農業科学館、新宿御苑大温室、京都府立植物園、高知県立牧野植物園など、全国約30か所にのぼります。
研究目的で栽培されている場合もありますが、施設によっては来園者向けにカカオやチョコレートのイベントを行っているところもあります。
夢の島熱帯植物館(東京都江東区)では年に一度のチョコレート作りが実演されているそうです。
まとめ
身近な存在であるチョコレートの原材料であるカカオが、貴重な農作物であることに驚きました。
また、日本では高品質なカカオ豆を多く輸入しているということから、日本人のチョコレートへのこだわりが伺えます。
最近では、カカオ豆の産地を売りにした商品も多く目にするようになっています。
産地の特色を知っておくと、楽しみ方も変わるかもしれません。