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食品添加物や化粧品で用いられる多糖類プルランとは?

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食品添加物や化粧品で用いられる多糖類の一種であるプルランをご存知ですか?

プルランは水溶性で保水力に富むため、食品、化粧品、医薬品分野などで広く利用されています。

本記事では、プルランの性質や利用法についてまとめました。

プルランとは

プルランは多糖類の一種であり、グルコース(ブドウ糖)が繋がった構造を持っています。

正確な構造としては、3つのグルコースがα-1,4結合し、そこにα-1,6結合でグルコースが1つ繋がった構造が繰り返された階段のような分子となっています。

プルランの構造

マルトトリオースがα-1,6結合でつながった構造

プルランはでん粉を原料として作られる水飴から作られ、黒酵母の一種であるAureobasidium pullulansという微生物で、水飴を発酵させることで、工業化されています。

 

プルランの性質

プルランは、様々なユニークな性質を持っていることが知られています。

以下に代表的な特性を記載します。

溶解性

プルランは水溶性の分子であり、水に速やかに溶ける特徴があります。

また、エタノールなどのアルコール類や油には溶けません。

ただし、プルランの水酸基を他の置換基に置換した場合は、有機溶媒に可溶化する性質を持つようです。

粘度

プルランは高分子の多糖類であることから、水に溶かすと粘度を発現します。

中性糖のグルコースのみで構成されているため、増粘多糖類のような粘度は発現しませんが、水に溶かすことで粘調な液体となります。

そして、金属塩の影響も受けにくいですが、ホウ素やチタンによって粘度が増加することがあるそうです。

プルラン水溶液は、ニュートン流体(加えた力によって粘度が変化しない性質)であり、潤滑性や粘着性があります。

分子量

分子量は、数万から数百万まで、製造法によって任意に調整出来るそうですが、現在工業的には平均20万の分子量ものが製造されています。

その他の性質

プルランは接着性が非常に高く、食品や錠剤のバインダーとして用いられます。

また、プルランは被膜性にも優れているため、食品や金属等の表面をコーティングすることが出来ます。

この際に形成されるフィルムは、酸素不透過性や耐油性といった性質があります。

プルランを加熱すると、250℃付近から分解し始め、280℃以上では炭化してしまいます。

プルランは、体内の糖質分解酵素では完全に分解されないため、難消化性多糖といえます。

 

プルランの安全性

プルランは様々な試験によって安全性が確認されており、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、変異原性の各試験において問題がないことが確認されています。

そのため、プルランは極めて安全な物質といえ、日本では使用制限のない添加物として扱われて、食品はもちろん、食品以外でも医薬品や化粧品の原料として用いられます。

また、国外での扱いについても、アメリカではGRAS認証(アメリカ食品医薬品局(FDA)より食品添加物に与えられる安全基準合格証)が得られており、韓国や台湾でも食品添加物として取り扱われています。

他にも、化粧品原料として化粧品種別許可基準に掲載されていることや、医薬品添加物として医薬品添加物規格に収載されていますので、これらのことからも、プルランは安全な物質であると考えられます。

プルランの利用

プルランは上述した性質を生かして様々な用途で用いられています。

食品での利用

プルランは多糖類の中でも低粘度であるため、粘度を上げずにボディ感を高めることが出来るため、スープなどに用いられます。

また、ゲルの離水を抑制することが可能であり、ようかんや豆乳ゲル等のゲル系食品に用いられます。

また、プルランの接着性を生かして、米菓やクッキーなどに、のりやアーモンドなどのトッピングのようなものを付着させることが可能です。

他にも、接着性を生かして、ラムネなどの打錠製品での結着剤としても利用されています。

プルランの被膜性を生かして、味付けのりなどのつや出しなどに利用されています。

化粧品での利用

プルランは水との親和性が高く、保湿性があることやバリア機能があることから、ハンドクリーム等に用いられます。

また、増粘剤としての性質も利用され、化粧水や美容液などにも用いられます。

その他にも、クレンジング、ボディケア用品、頭皮ケア用品等、非常に幅広く用いられています。

医薬品での利用

プルランは打錠性に優れていることから、医薬品の錠剤製造に用いられています。

その他、血しょう増量剤や、コンタクトレンズ等への応用も検討されているようです。

その他の利用

プルランは分子量分布が狭いことから、水溶性高分子の分子量測定時の標準試料として用いられています。

また、プルランはフィルムを容易に作ることが可能であり、ガスバリア性を利用した食品の酸化防止等を目的に、食品の包材として利用されます。

さらにプルランはヒートシール性があるため、この特性を生かして包材などにも利用されています。

他にはガラスへの親和性が良くグラスファイバーの集束剤や ガラス繊維 の表面処理材にも使用できます。

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