食品添加物に指定されている多糖類のアラビノガラクタンはご存知ですか?
アラビノガラクタンは広く植物に分布し、免疫を向上させる機能等があることから、注目されている多糖類です。
本記事では、アラビノガラクタンの構造や性質について記載しました。
アラビノガラクタンとは
アラビノガラクタンとは、様々な植物に存在する多糖類であり、細胞間の接着や認識,植物細胞の分化・成長に関わっている重要な生理機能成分であると考えられています。
アラビノガラクタンの構造は、アラビノースとガラクトースという糖から構成されています。
アラビノガラクタンは、構造の違いからⅠ型およびⅡ型に分類されています。
Ⅰ型アラビノガラクタンは、ガラクトースがβ,1-4結合した主鎖構造をもち、側鎖にアラビノースが結合しています。
Ⅱ型アラビノガラクタンは、ガラクトースがβ,1-3β結合した主鎖構造をもち、側鎖にはガラクトースがβ,1-6結合した部分や、アラビノース,微量成分としてラムノース、フコース、キシロース、グルコース等が結合しています。
食品添加物として認められているアラビノガラクタンは、マツ科セイヨウカラマツ(Larix occidentalis NUTT.)又はその他同属植物の根又は幹より、室温時水で抽出して得られたものと規定されています。
カラマツを英語でlarch treeということから、アラビノガラクタンをラーチガムと呼ぶこともあるそうです。
アラビノガラクタンの製造方法
アラビノガラクタンは、カラマツから水で抽出することで得られます。
そこから、分子量を調整するために、熱分解処理、酸分解処理、アルカリ分解処理、物理的分解処理等によって分解し、適切な粘度を発現するように調整しているようです。
アラビノガラクタンの性質と利用
アラビノガラクタンは増粘剤としての機能以外に、様々な機能が報告されています。
免疫賦活作用
生まれながらに備わっているからだの防衛機構である自然免疫で重要な役割を果たしているナチュラルキラー細胞を活性化する作用があるとされています。
この性質を利用して、アラビノガラクタンを含むサプリメントが海外では売られているようです。
腸内環境の改善
ビフィズス菌など体に良い働きをするといわれる細菌を増殖させ、腸内細菌叢を改善する作用があるとされています。
ニュートン流体
アラビノガラクタンの水溶液は、ニュートン流体です。
乳化性
アラビノガラクタンは乳化安定性があり、エマルジョンを安定化することが可能です。