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食品添加物のグアーガム

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食品添加物のグアーガムについて

みなさん、食品添加物に用いられているグアーガムについてご存知ですか?

グアーガムは増粘多糖類の一種で、食品添加物として増粘剤やゲル化剤、糊料として使用されています。

本ページでは、グアーガムについてまとめてみました。

グアーガムの構造

グアーガムはガラクトマンナンと呼ばれる多糖類に属し、ガラクトマンナンはガラクトースとマンノースを構成糖とする多糖類であり、マンノースがβ-1,4結合によって直鎖状主骨格に、ガラクトースが置換基としてα-1,6結合した分岐構造を持っています。

ガラクトマンナンは他にも、ローカストビーンガムやタラガム、フェヌグリークガムなどがありますが、これらとの違いはガラクトースの置換率であり、グアーガムはガラクトースの置換率が50%程度です。

下記にグアーガムの構造図を示します。


グアーガムの構造

グアーガムの製造方法

グアーガムはグアー豆(Cyamopsis tetragonolobus)という北西インドおよびパキスタンで栽培されているマメ科植物の種子から抽出、精製されて製造されます。

グアーガムは種子の胚乳部分に蓄えられているため、種子から比重分離あるいは機械的分離によって外皮、胚芽、胚乳に分離します。

続いて胚乳部をローラー延伸あるいは水や温水に浸して粘度の高い溶液とし、これを濾過した後にアルコールを添加して沈殿させるか、凍結乾燥または噴霧乾燥によってグアーガムを回収します。

さらに、粘度調製や水への分散性改良を目的として、酵素処理して低分子化する場合もあります。

グアーガムの利用と特性

グアーガムは工業用途、食品用途の両方で利用されています。

工業用途では、化粧品分野の増粘剤として広く使われておりますが、それ以外には掘削時の粘度調整剤としての需要が増えてきています。シェールガスを発掘するために岩盤に割れ目を作るのですが、この作った割れ間が埋まってしまうのを防ぐ目的で使用されているそうです。

グアーガムは食品分野では主に増粘剤、糊料として利用されています。

そのほかにも乳化安定性の効果も有しており、熱や塩などに対しても安定性が高いことから、さまざまな食品に応用されています。

冷菓・乳製品
グアーガムは保型性の改善、乳化安定効果、気泡安定効果、氷結晶生成防止効果等があり、この性質を利用して、ホイップクリームやアイスクリームなどに利用されています。

飲料
飲料にグアーガムを添加することで、飲んだ時に飲みごたえを感じるようなボディ感の付与、ココア粒子などの沈殿防止あるいはテクスチャーの改良に効果的です。

麺類
麺類に対してグアーガムを添加することで、麺のほぐれやすさを改良したり、麺のつやを向上させることが可能です。

また、麺の表面をグアーガムでコーティングすることで、麺からの水分蒸発を抑制し、品質保持期限の延長が可能です。

その他にもパン生地に添加することでテクスチャーを改善したり、米飯に添加することで澱粉の老化を防止し品質保持期限を延長したり、練り製品の離水防止などに用いられます。

また、シュガーレスや低カロリー食品はどうしても味質が悪くなりがちですが、グアーガムによって、後味の悪さをマスキングしたりすることで味質を改善することが可能です。

またグアーガムの特性としては、一般的に1%の粘度が3000~5000mPa.sのものが商品化されていますが、中には酵素処理等によって低粘度化した商品も販売されています。

グアーガムは、同じ増粘多糖類であるキサンタンガムと相互作用し、より高粘度となる特徴を有しています。

また、非イオン性の中性多糖類であるため、塩類の影響を受けにくく安定であることが特徴です。

グアーガムの安全性

グアーガムの安全性についてですが、グアーガムは上記の通り、マメ科植物から抽出された天然のものであり、またADI等も特に設定されていないことから、安全性が高い食品添加物といえます。

まとめ

グアーガムについて纏めますと以下の通りです。
・ガラクトマンナンであり、ガラクトースの置換率は50%程度の構造
・グアー豆(Cyamopsis tetragonolobus)というマメ科植物の種子から抽出、精製されて製造
・食品分野で主に増粘剤、糊料、乳化安定剤として使用されている
・ADIがなくマメ科由来の天然物であるため、比較的安全な食品添加物であると考えられる

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