最近では、花粉症の方がかなり増えており、また食物アレルギーを持つかたも珍しくありません。
実は、花粉症と食物アレルギーは同じ原理で発症していると考えられています。
みなさんはアレルギーの原理についてはご存知でしょうか?
このページではアレルギーについて詳しく説明していきたいと思います。
さらに、アレルギーを回避した食品開発の考え方についても少し述べたいと思います。
Contents
アレルギーとは?
アレルギーとは、人間が持つ必要不可欠な生理機能である免疫反応によって起こります。
通常の免疫反応では、病原菌などを排除するために、病原菌が持つ抗原とよばれるタンパク質を体が認識し、白血球が抗原に対して抗体という物質を作ります。
この抗体によって、抗原を無効化することが免疫反応です。
アレルギーは、この免疫反応が過剰に起こってしまうことで発症すると言われていますが、アレルギーの詳細な発症メカニズムについては、実はまだ分かっていないのが現状です。
アレルギーの種類
アレルギーの原因物質のことをアレルゲンといいますが、アレルゲンには様々な種類があることが知られています。
代表的なアレルゲンを下記に示します。
吸入性アレルゲン:ほこり、カビ、ダニ、花粉
食物性アレルゲン:卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに
接触性アレルゲン:金属、ラテックス、うるし
アレルゲンは基本的にはタンパク質ですが、中には金属アレルギーなどタンパク質でないものもアレルゲンとして知られています。
これは、金属によって、人体が持つタンパク質が変性することで、変性タンパク質がアレルゲンとなって免疫過剰となることに起因します。
食物性アレルゲン
食物性アレルゲンには7大アレルゲンといって、食物アレルギーのうち患者数が多いものと、発症した際の症状が重く、生命に関わるため特に注意が必要なものが7品目定められています。
7大アレルゲン:卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに
この中で、卵、乳、小麦、えび、かにについては症例数が多いことが特徴です。一方、そば、落花生に関しては、発症すると症状が重く命に関わるものです。
7大アレルゲンは、「食品表示基準」(平成27年内閣府令第10号)において「特定原材料」と定められ、法令でアレルゲンの有無の表示を義務付けています。
7大アレルゲン以外の食物性アレルゲンとしては、表示が義務付けられていないものの、できる限り表示するように推奨されている「特定原材料に準ずるもの」が20品目設定されています。
特定原材料に準ずるもの20品目:あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ、ごま、カシューナッツ
一方、アレルギーの発症については個人の免疫反応に左右されるため、上記の特定原材料及び特定原材料に準ずるものに定められていないものでも、アレルゲンとして機能し、アレルギーを発症してしまう場合があります。
つまり、タンパク質を含む食品である限りはアレルギー症状が発症しても不思議ではないということです。
なので、ある特定の食べ物を食べたときに、アレルギー症状が確認される場合は、医者に行って検査してもらう必要があると思います。
アレルゲン対応食品について
アレルギー症状を持つ方にとっては、特定の食べ物が食べられない状態は非常に残念なことであると思います。
例えば、小麦アレルギーを持つ方は、パンや麺類など様々な食品を食べることが出来ないといった制限があります。
そういった背景から、通常使うアレルゲンの素材を、別の素材で代替することで、アレルゲンに対応した食品を作るという動きが、近年盛んになってきています。
例をあげると、小麦アレルギーに対応するために、米粉で作った麺類あるいは米アレルギーにも対応した雑穀麺などがあります。
また、パン類では、小麦の代わりに米粉で作ったパンなどが作られています。
卵や乳の代わりに、豆乳を使うことで対応した洋菓子なども存在します。
アレルゲン対応食品を作るコツ
アレルゲン対応の食品は、実はあるコツが存在します。
アレルゲン物質であるタンパク質の食品中での役割として、栄養素となって体のエネルギー源となる栄養的役割他に、食品の物性をコントロールするという役割があります。
タンパク質が食品中で発揮している特殊な物性は下記のようなものがあります。
加熱ゲル化性:変性タンパク質による三次元的な網状構造内に水を取り込んで凝固することでゲルを形成。
(例)かまぼこ、ハム、ソーセージ
乳化性:タンパク質を構成するアミノ酸の親水部分及び疎水部分によって発現する両親媒性に起因。
(例)マヨネーズ、ドレッシング
起泡性:表面張力の作用によって、不溶化した変性タンパク質分子が安定な固体状の膜となって気泡を包み込むことで発揮。
(例)ケーキ、メレンゲ
これらのタンパク質の基本機能の他に、グルテンなどの特別なタンパク質が発揮している機能もあります。
グルテンの機能:特殊な弾性による弾力食感の発現、網状構造による気泡の保持。
(例)パン、麺
上記の機能をタンパク質が食品中で担っていることから、アレルゲン対応食品を作るためには、上記の機能を別の素材又は別のタンパク質で発現させることが重要であります。
例えば、乳化性や起泡性といった機能を発現させたい場合は、アレルゲンとは別のタンパク質を用いたり、タンパク質の代わりに乳化剤を用いることが考えられます。
また、ゲル化性については、アレルゲンとは別のタンパク質を用いたり、ゲル化性を持つ多糖類を使用したりすることが考えられます。
グルテンの代替については、米粉を中心に行われ、グアガムやヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)といった増粘多糖、澱粉、大豆の脱脂粕を添加する例など、様々な方法が現在研究されています。
Amazonで購入可能なアレルギー対応食品
実はAmazonでもいくつかアレルギーに対応した食品を購入することが可能です。
以下に詳細を記載します。
S&B アレルゲンフリー(27品目不使用) カレーフレークN 1kg
国内で表示を義務づける、表示を推奨する27品目を含む原材料を使わずにつくられたカレーフレークです。
リンゴと牛肉のアレルギーを持ってらっしゃる方は重宝するのではないでしょうか。
オタフクソース 1歳からのケチャップソース 200g 7大アレルゲン不使用
7大アレルギー(卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かに)原料不使用のベビーフードソース(1歳から)です。
離乳食を終えたお子さまの味覚に配慮して作られているのでお勧めです。
ハウス 特定原材料7品目不使用 シチューミクス クリーム 105g×3個
特定原材料7品目に対応しているシチューミックスで、粉末なので使い勝手がよい特徴があります。
アレルギーで今までシチューを食べられなかった方のいる家庭でも、安心して家族と一緒においしいシチューを食べることができます。
まとめ
本ページではアレルギーについて纏めてみましたがいかがでしょうか?
最近では食品化学の分野も進んできており、アレルゲンフリー食品でも非常に完成度の高いものが存在します。
みなさんもぜひ、食品の化学特性について理解することで、アレルゲンフリーの食品にチャレンジしてみてください。