普段何気なく食べている「おはぎ」と「ぼたもち」ですが、違いは分かりますか?
食べる季節の違い?大きさの違い?つぶあんかこしあんの違い?結局どっちがどっちだっけ?となりがちな「おはぎ」と「ぼたもち」の違いについてまとめてみました。
おはぎとぼたもちの違い
結論から言いますと、おはぎとぼたもちは基本的には同じものです。
おはぎとぼたもちの違いと聞いて、「食べる季節の違い」と考える人が多いのではないでしょうか。
おはぎやぼたもちは、お彼岸に供えるという古くからの日本の風習があります。
春のお彼岸に供えるのがぼたもち、秋のお彼岸に供えるのがおはぎです。
なので春はぼたもち、秋はおはぎと使い分けるのが本来ですが、今は販売店では年中おはぎで通すところが大多数のようです。
花の名前との関係
おはぎを漢字で書くと「御萩」。
ぼたもちは「牡丹餅」です。
ここで教養のある人はピンときますよね、さすがです。
そう、「萩」も「牡丹」もお花の名前なのです。
さあ、どっちが春の花でどっちが秋の花?これがわかる人はもう、おはぎとぼたもちがどちらの季節のものなのかすぐに覚えられます。
まあ私は、お花の季節がすぐにわかるほどの知識は持ち合わせていないので、結局どっちやねんってなります。
萩の花期は7月から10月、牡丹は4月から6月だそうです。
(春と秋に花をつける二季咲の寒牡丹というという種類もあるというややこし情報。しかも春と秋に咲くのに寒牡丹…え…寒い時期じゃないのになぜ…というところから牡丹の話で派生しそうになりましたが、今回はおはぎとぼたもちの違いの話なので牡丹は春!ということで。)
つまり春のお彼岸に供えるぼたもちは、その季節に咲く牡丹に見立てたものであり、秋のお彼岸に供えるおはぎは萩に見立てたものであるということです。
それは大きさや形にあらわれており、ぼたもちは牡丹の花のように丸く大きく豪華に作られ、おはぎは萩の花の形のように小ぶりで俵型に丸めて作られたそうです。
牡丹
萩
ぼたもち
おはぎ
なるほど、言われてみればわからんでもない、程度ですね。
あんこの違いは?
続いて、あんこの違いについてです。
つぶあんがおはぎ、こしあんがぼたもちと思っている方も多いかと思います。
実はこれも季節に関係する話になってきます。
あんこの材料は小豆です。
その小豆の収穫時期は秋のお彼岸の時期とほぼ同じだそうです。
とれたての小豆は皮も柔らかく一緒に潰せるためつぶあんができます。
よって秋のお彼岸に供えるおはぎはつぶあんで作られました。
一方、春のお彼岸の時期は冬を越した小豆を使うことになるので、皮が固くなってしまっているため、皮を取り除いて作ったこしあんを使います。
よって春のお彼岸に供えるぼたもちはこしあんで作られました。
しかし、現在では皮のまま使える良質な小豆が年中使用できるため、つぶあんとこしあんは食感や舌触りを楽しむために使い分けられていることがほとんどのようです。
材料や形状の違い
その他にも材料や形状で呼び名を変える地域や販売店もあるようです。
具体的には
・中身にうるち米を使ったものをおはぎ、もち米を使ったものをぼたもち
・米粒の状態が残ったものをおはぎ、餅状になったものをぼたもち
・きな粉をまぶしたものをおはぎ、小豆あんで包んだものをぼたもち
このように色々な違いで呼び分けられていますが、地域や販売店によってもその線引きは様々で、おはぎとぼたもちをはっきり分けることが難しくなっているようです。
ここまできまして、「なるほど。まあどっちでもええわな」という気持ちになっていただけたでしょうか。
そもそも花に見立てて作る必要があったのか、という趣のないことを考えてしまいます。
季節が関係なくなれば、呼び名を変えずに済んだのに、と。
(まあでもきっとあれですよね、お彼岸なんで、ご先祖様のご供養と、収穫への感謝がどうのこうの…的な)そもそもお彼岸という風習ですら、縁遠くなってきている現代では想像しにくいかもしれませんが、おはぎとぼたもちの歴史を思い、季節の風情を感じながら頂くのもいいかもしれませんね。